GA4イベントトラッキング完全攻略:GTMでサイト内行動を可視化する方法(第3回)
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GA4イベントトラッキング完全攻略:GTMでサイト内行動を可視化する方法(第3回)

    • GA4の探索を活用したイベントデータ分析の具体的な方法を理解できる

    • コンバージョンファネルやユーザー行動データから課題を発見し、サイト改善策を立案する手法が身につく

    • GTM×GA4×Google広告のデータ連携方法を知り、計測したイベントデータを広告運用やリマーケティングに活用できるようになる

    • GA4探索レポートでセグメント比較経路データ探索を行い、ユーザーの行動パターンを可視化する方法を解説

    • ファネルデータ探索で離脱ポイント(ボトルネック)を見極め、ユーザー行動に基づく具体的な改善アプローチを解説

    • GTMを活用したGA4とGoogle広告の連携により、イベントデータをコンバージョン計測やオーディエンス配信(リマーケティング)に活用する方法を解説

    この記事の目次

    • 1. GA4イベントデータ分析:探索レポートの活用法

      • 1-1. セグメント比較によるイベント分析

      • 1-2. 経路データ探索でユーザーフローを可視化

    • 2. コンバージョンファネルとユーザー行動分析から見る改善アプローチ

      • 2-1. ファネル分析でボトルネックを発見する

      • 2-2. ユーザー行動データに基づく改善施策の検討

    • 3. GTM×GA4×Google広告の連携によるイベントデータ活用

      • 3-1. GA4とGoogle広告を連携するメリット

      • 3-2. イベントデータを用いたリマーケティングと広告最適化

    • 4. まとめ:イベントトラッキング活用で施策を加速させる


    GA4の「探索」は従来の標準レポートでは得られない詳細な分析や可視化を可能にするものです。標準レポートが定型的な集計データを提供するのに対し、探索レポートではイベント単位・セッション単位・ユーザー単位のデータを必要に応じて分析できます。

    セグメントとは、特定の条件でユーザーやセッション、イベントデータを絞り込むためのフィルタリング機能です。GA4探索レポートではこのセグメントを利用し、異なるユーザーグループの行動を比較分析できます。

    例えば「新規ユーザー」と「リピーター」、「オーガニック検索から来たユーザー」と「SNSから来たユーザー」など、関心に応じたセグメントを作成可能です。

    <↑ セグメントを使用した探索レポート>

    作成したセグメントは画面左の「変数パネル」に追加されます。「セグメントの比較」エリアにドラッグ&ドロップすると、それぞれのセグメントごとの指標を同一レポート上で比較できます。最大で4つのセグメントを並べて比較できるため、複数のユーザー群のイベント発生状況やコンバージョン率の差異を一目で把握できます。

    例えば、イベント「資料請求」をコンバージョンと定義した場合、「自然検索経由の新規ユーザー」と「リスティング広告経由の新規ユーザー」をセグメントで分けて比較すると、どちらのチャネルから来たユーザーがより多く資料請求しているかが分かります。もしオーガニック経由のCVRが高ければ、SEO施策の強化に注力する、といった戦略判断につながるでしょう。また、セグメントをデバイス別(PC vs モバイル)で比較すれば、デバイス毎のエンゲージメントやCVRの違いも分析できます。こうしたセグメント比較による分析は、特定ユーザー層の行動特性を浮き彫りにし、重点を置くべき施策領域を明確化するのに役に立ちます。

    <↑ セグメントをプロパティに保存すれば、他の探索レポートでも使用できます>

    一度定義したセグメントは、他の探索レポートでも使用できます。

    <↑ セグメントからオーディエンスを作成する>

    加えて、作成したセグメントは、プロパティ全体で再利用可能なオーディエンスとして保存することもできます。

    「探索のセグメント」から作成したオーディエンスの主な活用ポイント(セグメント由来でも通常のオーディエンスと同等に使えます):

    • 広告アクティベーション:Google 広告/DV360/SA360 へ自動共有され、リマーケ・除外配信・段階的なメッセージングに利用できます(メンバーシップ期間は最大540日まで設定可)。

    • オーディエンストリガーで“到達”をイベント化:条件を満たした瞬間に専用イベントを自動発火でき、これをキーイベント(旧:コンバージョン)として計測可能。セグメントで定義した行動到達点を KPI 化できます。

      <↑ セグメントから作成したオーディエンス標準レポートで使用する>

    • 標準レポートでの比較軸に:標準レポートでオーディエンスの名前をディメンションに指定して、対象オーディエンスと全体・他オーディエンスの数値を並べて比較できます。

    ユーザーがサイト内でどのような経路を辿っているかを分析することは、コンテンツ配置や内部リンク設計の改善に直結します。「経路データ探索」を使うと、特定の起点からユーザーが次にどのページやイベントに進んだか、あるいはどこで離脱したかをツリー構造のフロー図で視覚化できます。この分析により、ユーザーフロー上の重要な分岐点や離脱ポイントを直感的に把握することが可能です。

    <↑ 「経路データ探索」によるユーザーフローの可視化例>

    セグメントに「オーガニックトラフィック(自然検索流入)」を適用し、起点(ノード)をあるページに設定した例では、そのページからユーザーが次に遷移したページや実行したイベント、および各経路ごとのユーザー数が表示されています。

    青い帯の太さがユーザーの遷移数を表し、右方向に進むほど後続のステップを示しています。この可視化により、ユーザーがサイト内でたどる典型的な経路や、途中で離脱しやすいポイントが一目で分かります。

    このような「経路データ探索」の結果から、「ページAから商品ページBへは多く遷移するが、商品ページBで離脱するユーザーが多い」といった洞察が得られます。その場合、商品ページBに関連コンテンツを追加したり、内部リンクを最適化するなどの対策が考えられます。

    また、経路分析では起点をイベントに設定することもできます。例えば、「動画再生イベント」を起点にすれば、動画視聴後にユーザーがどんな行動を取るか(別のページに移動するのか、離脱するのか)を分析できます。これにより、イベント(サイト上の特定行動)を軸としたユーザーフローを把握し、「動画視聴者には次に関連商品の紹介ページへの導線を設けよう」など具体的な施策検討につなげられます。

    補足: GA4経路探索では、始点(あるイベント/ページから先の行動を見る)だけでなく終点を指定して「そのゴールに至る前にどの経路を辿ったか」を逆算分析することも可能です。例えば終点を「購入完了イベント」に設定すれば、購入に至ったユーザーが直前に辿ったページやクリックイベントのパターンを分析できます。これにより、コンバージョンに寄与する経路パターンの発見にも役立ちます。

    <↑ 「セグメントの重複」によるユーザーフローの可視化例>

    探索レポートには「経路データ探索」以外にも様々なテンプレートが用意されています。その一つが「セグメントの重複」です。「セグメントの重複」分析では、複数のセグメント間でユーザーがどの程度重複しているかをベン図で視覚化できます。例えばECサイトで「直近30日間に訪問したユーザー」「会員登録済みユーザー」「購入履歴のあるユーザー」といったセグメントを3つ作成し重ね合わせると、それぞれの重複部分のユーザー数が表示されます。これにより、自社サイトの潜在顧客層(例:訪問はしているが未購入のユーザー層など)を明確化できるのが利点です。

    セグメント重複分析の結果から、例えば「再訪ユーザーのうち一定割合がまだ購入に至っていない」と判明すれば、その層に対するリマーケティング施策を強化するといった意思決定がしやすくなります。また、3つのセグメントを組み合わせて特定の条件を満たすユーザー群を抽出することもできます(最大3セグメントまで設定可能)。


    ここでは、GA4で取得したイベントデータを活用し 「ファネルデータ探索」やユーザー行動の深掘り分析を行うことで、サイト改善の糸口を見つける方法を解説します。分析で得られた示唆をどのように具体的な改善策に結び付けるか、実践的な視点で紹介します。

    <↑ 「ファネルデータ探索」>

     「ファネルデータ探索」は、ユーザーがコンバージョン(最終成果)に至るまでの複数ステップのうち、どの段階で離脱が生じているかを可視化する手法です。探索レポートには「ファネル探索」のテンプレートがあり、任意のイベントやページ遷移をステップとして設定することでカスタムファネルを構築できます。ファネル分析では各ステップの遷移率や離脱率が計測されるため、ユーザーがどの段階で離脱しやすいかが一目で分かります。

    上記の例は、ECサイトにおける「商品ページ閲覧 → カート追加 → 決済情報入力 → 購入完了」という4ステップのファネルを設定した例です。青い棒グラフと数値は各ステップを完了したユーザーの割合を示しています。ステップ1(商品ページ閲覧)を100%とすると、ステップ2(カート追加)への遷移率は約36%であり、多くのユーザーが商品をカートに入れていることがわかります。一方、ステップ3(決済情報入力)からステップ4(購入完了)への完了率は約4%と大幅に低下しています。このようにファネル分析を行うと、各工程間の離脱率が定量的に把握でき、どの段階がボトルネック(課題)になっているかが明確になります。

    ファネル分析で判明したボトルネックに対しては、その原因の仮説立てたうえで具体的な改善策を検討します。上記の例では、「決済ページで大きく離脱している」という結果が得られています。この場合、想定される原因として「入力フォームが複雑で離脱している」「決済手段が不足している」「送料や手数料の情報が分かりにくく途中で諦めている」等が考えられます。それらの仮説に応じて、以下のような施策を検討します。

    • UI/UXの改善: 決済フォームの項目数を減らし入力しやすくする、モバイル最適化する、エラー時のメッセージを分かりやすくする等。

    • オファー見直し: 最終ステップで離脱が多い場合、送料の明示や割引クーポン提示、保証制度の案内などユーザーの不安を解消し購入完了を後押しする情報を追加する。

    • 技術的改善: 決済ページの表示速度を速くする(パフォーマンス改善)やシステムエラーの有無をチェックする。

    こうした対策によってボトルネック解消を図り、ファネル全体のコンバージョン率を引き上げることが可能です。

    ファネル分析はECサイトのみならず、BtoBサイトのリード獲得プロセスなどにも応用できます。例えば「ブログ記事閲覧 → サービス紹介ページ閲覧 → 資料請求フォーム到達 → 送信完了」というファネルを構築すると、ユーザーがどの段階で離脱しやすいか、逆にどのコンテンツ経由だと最後まで完了しやすいかを把握できます。仮に「サービス紹介ページで大きな離脱が発生している」とわかれば、そのページのコンテンツ内容や訴求方法を改善したり、ページ内のCTAボタンのデザイン・配置を見直すなど、適切な対策を講じることができます。

    ファネル分析以外にも、GA4のイベントデータから得られるユーザー行動インサイトは数多くあります。重要なのは、分析結果をもとに具体的な改善アクションまで落とし込むことです。ここではいくつかの視点での分析と施策例を紹介します。

    • サイト内導線の最適化: 「経路データ探索」で特定ページからの離脱が目立つ場合、そのページ上の導線を見直します。ページAから商品ページBへの遷移後に離脱が多ければ、商品ページBに関連情報(レビューや使用事例など)を追記したり、ページAからB以外のオプション(類似商品ページ等)も提案するリンクを配置する、といった工夫が考えられます。

    • セグメント別の行動比較: セグメント分析でユーザー属性ごとのコンバージョン傾向を比較したら、その差異に応じた戦略を立てます。例えば、新規ユーザーとリピーターで購入率に差がある場合、リピーター向けに会員プログラムや追加サービスを打ち出す、逆に新規ユーザー獲得のため初回購入割引を提供するなど、それぞれに適した施策を講じます。また、流入チャネル別の分析で特定チャネルが顧客のLTV(顧客生涯価値)に強いと判明すれば、そのチャネル(例:リスティング広告やリファラル)の予算配分を増やすなどの判断ができます。

    • エンゲージメント指標の活用: イベントトラッキングではエンゲージメント関連指標(例:スクロールの深度、動画再生完了、など)も取得できます。これらを分析することで、コンテンツの質的な改善点が見えてきます。


    GA4でイベントを計測し分析するだけでなく、そのデータをマーケティング施策に直接活かすことも可能です。特にGTMと組み合わせてGA4とGoogle広告を連携すれば、イベントデータを広告の最適化やリマーケティングに活用できます。ここではGTMを用いたGA4とGoogle広告のデータ連携のポイントと、その活用方法について解説します。

    連携のメリット1 - 広告コストと成果データの一元管理

    • GA4にGoogle広告のクリック数・インプレッション・費用データを取り込める

    • 広告の費用とコンバージョン(成果)を同じレポートで確認できる

    • 広告の費用対効果(ROI)やROASを簡単に算出・分析できる

    連携のメリット2 - コンバージョン計測の統合

    • GA4で計測したコンバージョンイベントをGoogle広告にインポート可能

    • サイトやアプリで発生した成果(購入や問合せなど)をGoogle広告側でコンバージョンとして計上できる

    • 広告用のタグを別途設置しなくてもGA4の計測データを活用できる(計測の一元化)

    連携のメリット3 - ユーザー行動分析による運用改善

    GA4で広告流入ユーザーのサイト内行動データを詳しく分析可能
    • 例: セッションあたりのページ閲覧数、滞在時間、直帰率などを把握し、ランディングページ改善に活用

    • コンバージョンに至るまでのユーザーの動きを追跡し、ボトルネックを発見できる

    メリット3の活用例

    例: 広告キャンペーンA経由のユーザーは平均閲覧ページ数が1ページと少ない
    → ランディングページの内容に問題がある可能性が高く、改善すべきと判断

    例: キャンペーンB経由のユーザーは商品ページまで到達するが購入に至らない割合が高い
    → カートやフォームのUI改善、訴求メッセージの見直しなどサイト側の改善を検討

    メリット4 - オーディエンス共有でリマーケティング強化

    • GA4で作成したオーディエンス(ユーザーリスト)をGoogle広告と共有可能
       例: 購入に至らず離脱したユーザーのリストを作り、リマーケティング広告で再アプローチ

    • GA4の多彩な条件で細かいユーザーセグメントを作成し、広告ターゲティングの精度向上

    メリット4の活用例

    例: カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーのオーディエンスをGA4で作成
    → Google広告でそのユーザーにクーポン提示のバナー広告を配信し、再訪問を促進

    例: 過去30日以内にサイト訪問したユーザーに限定して広告予算を集中

    • GA4からインポートしたコンバージョンデータをGoogle広告の自動入札戦略に活用可能
      例: 目標ROAS入札やコンバージョン数最大化などで、GA4由来のデータを元に機械学習が最適化

    • 正確なコンバージョン計測により、入札調整の精度向上や広告運用の効率化が期待できる

    • GA4プロパティが作成済みで、サイトにGA4の計測タグが設置されデータ収集されていること

    • Google広告アカウントとGA4プロパティ両方で管理者権限を持つユーザーでログインしていること

    • Google広告側で自動タグ設定(gclidパラメータを付与)が有効になっていること(通常デフォルトで有効)

    • GA4でコンバージョンとして計測したいイベントを設定しておくこと(例: 購入や問い合わせ送信など)

    GA4の「サービス間のリンク設定」で、「Google 広告のリンク」をクリック。

    「Google 広告のリンク」で「リンク」をクリック。

    「Google 広告アカウントを選択」をクリック。

    連携する Google 広告アカウント にチェックを入れて、「確認」をクリック。

    「次へ」をクリック。

    「自動タグ設定を有効にする」をクリック。「選択した Google 広告アカウントの自動タグ設定を有効にする(推奨)」が選択されていることを確認した後、「次へ」をクリック。

    「送信」をクリック。

    「リンク作成済み」と表示されたら設定完了。

    ツール > データマネージャー > 接続されたプロダクト でGA4が「リンク済み」となっていることを確認。

    リンク設定が完了したら、GA4で計測したキーイベント(旧:コンバージョン)をGoogle広告側に取り込みますこれにより、Google広告のレポート上でGA4由来のコンバージョン数や価値が計上されます。

    (※GA4で事前にコンバージョンとしてマークしたイベントがインポート対象になります)

    手順1 – 目標 > コンバージョン > 「+ 新しいコンバージョン アクション」をクリック

    手順2 – 「インポート」をクリック

    手順3 – 「Google アナリティクス 4 プロパティ」の「ウェブ」を選択して、「続行」をクリック。

    手順4 – GA4からインポートしたいキーイベントにチェックを付けて、「インポートして続行」をクリック。

    手順5 – 「インポートしました」と表示されたら「完了」をクリック。

    手順6 – GA4のキーイベントがインポートされていることを確認。

    • GA4で設定したオーディエンス(例: コンバージョン未達成の訪問者など)は、自動的にGoogle広告側に共有される。

    • Google広告のオーディエンス管理画面で、GA4由来のオーディエンスリストが利用可能になっていることを確認できる。

    • 共有されたオーディエンスは、検索広告やディスプレイ広告のリマーケティングや類似ターゲティングに活用可能。

    • GA4にGoogle広告の費用データとサイト側の収益データ(例: eコマース売上)が揃うことでROAS算出が可能

    • GA4の「広告スナップショット」レポートで、全体的な広告費用対効果を確認できる。

    GA4とGoogle広告を連携する大きなメリットの一つが、計測したイベントデータを広告配信に直接活用できる点です。サイト上のユーザー行動データを元に、より精度の高いリマーケティングや広告ターゲティングの最適化が実現します。ここでは特に、ECサイトの例として「カート離脱」(商品をカートに入れたが購入に至らなかった)ユーザーへのリマーケティング施策を中心に、イベントデータ活用による広告最適化の手法を解説します。

    イベントベースのリマーケティング:カート離脱ユーザーへのアプローチ

    GA4では特定のイベント発生状況に基づいてユーザーのオーディエンスリストを作成できます。例えば「商品をカートに追加した(add_to_cart)が、最終的に購入完了(purchase)に至っていないユーザー」という条件でカート離脱ユーザーのリストを定義可能です。このオーディエンスをGoogle広告と共有すれば、そのリストを対象にしたリマーケティング広告キャンペーンを展開できます。カート離脱者はECサイトにおいてコンバージョン率向上の鍵となる層であり、「あと一歩で購入に至らなかった」高関心ユーザーだけに絞ってアプローチできるため、汎用的なリターゲティングより効率的です。

    具体的な施策としては、カート離脱ユーザーに対し動的リマーケティング広告を配信する方法があります。ユーザーがカートに入れたまま購入しなかった商品をクリエイティブ上で再表示し、「残りわずかです」「カートに商品が残っています」といったメッセージで購買を促す手法です。または割引クーポンの提供や送料無料の案内などインセンティブを付与した広告を配信し、購入完了を後押しすることも有効です。GA4で条件を細かく設定したオーディエンスであれば、こうしたパーソナライズ度の高いメッセージングが可能になり、ユーザー毎の行動履歴に即したリマーケティングで成果向上が期待できます。

    カート離脱以外にも、イベントデータを活用した様々なリマーケティング施策が考えられます。たとえば、サイト上でフォーム入力を開始したものの送信に至らなかったユーザー(フォーム離脱)に対して、別の訴求ポイントを盛り込んだバナー広告を配信して再度フォーム送信を促すといった方法です。

    また既存顧客に対しては、購入完了イベントが発生したユーザーのリストを用いて関連商品の紹介やアップセル・クロスセルを狙う広告配信も可能です。

    逆に除外リストとしてオーディエンスを活用することで広告の無駄打ちを防ぐことも重要です。例えば「既に購入済みのユーザー」や「会員登録済みのユーザー」を除外設定し、新規ユーザー獲得キャンペーンではその層に広告を表示しないようにすれば、予算を本当に必要な層に集中投下できます。このようにGA4の詳細な条件設定で作成したオーディエンスを使えば、配信対象・除外対象をきめ細かく制御でき、限られた広告費を狙うべきユーザーセグメントに集中させることが可能です。その結果、リマーケティング精度の向上や広告ROIの改善につながります。

    コンバージョンデータの活用と自動入札による広告最適化


    GA4で計測したキーイベント(旧:コンバージョンイベント)をGoogle広告側にインポートすることで、広告の入札最適化にもイベントデータを役立てられます。GA4経由で取得した購入完了や問い合わせ送信などのデータをGoogle広告のコンバージョンとして設定すれば、Google広告のスマート自動入札(例: 目標コンバージョン単価や目標ROAS)においてそれらのコンバージョンが最適化目標に組み込まれます。

    例えばECサイトの購入イベントをインポートして目標ROAS型の入札戦略を適用すれば、GA4発の正確な売上データに基づき機械学習が入札単価を調整し、広告費あたりの売上最大化を図ってくれます。従来、広告プラットフォーム側のタグで計測したコンバージョンデータのみで最適化していた場合と比べ、GA4由来のデータ統合によりユーザー行動を包括的に把握できるため、入札アルゴリズムの精度向上が期待できます。実際、GA4からインポートされたコンバージョンデータはGoogle広告のスマート入札機能にも反映され、自動入札によるパフォーマンス改善に寄与します。

    GA4とGoogle広告の連携によって広告効果測定と改善サイクルを一元的に回せる

    GA4とGoogle広告の連携によって広告効果測定と改善サイクルを一元的に回せる点も見逃せません。GA4の「広告」レポート(広告スナップショットなど)では、Google広告のクリックやインプレッション数に加え、GA4計測のコンバージョン数や収益データが統合されて表示されます。これによりキャンペーンやキーワードごとの正確なROAS(広告費用対効果)をGA4上で確認でき、どの広告施策が効率良く売上・成果に結びついているかを評価できます。

    例えば、あるキャンペーンAではクリック後の平均閲覧ページ数やエンゲージメント時間が極端に少ない場合、ランディングページの内容に問題があり直帰されている可能性があります。一方でキャンペーンBではサイト内で複数ページの閲覧やカート追加といった深いエンゲージメントがあるにもかかわらず購入に至っていないとすれば、購入フロー上に改善すべき点(価格や送料の提示方法、決済プロセスなど)があるかもしれません。

    このようにGA4のイベントデータに基づきユーザーのサイト内行動まで踏まえた分析を行うことで、単に「コンバージョンした/しない」という結果だけでなく、その背景にある課題を発見できます。そして明らかになった課題に対してサイト改善やクリエイティブ訴求の見直しなど適切な対策を講じ、その効果を再びGA4で計測・検証するといったPDCAサイクルを回すことで、広告運用の精度を継続的に向上させていくことができます。

    以上のように、GTMとGA4で取得した詳細なイベントデータをGoogle広告と連携することで、ユーザー一人ひとりの行動履歴に基づいたきめ細かなリマーケティングと、データ主導の広告最適化が実現できます。


    本記事では、GA4のイベントトラッキングデータを「分析」と「施策」の両面で活用する方法を解説しました。GA4の探索レポート機能を駆使すれば、標準レポートでは得られない深い知見を得ることができ、ユーザーの行動を多角的に理解できます。

    特にセグメント比較や「経路データ探索」「ファネルデータ探索」を用いることで、自社サイトの課題や強みをデータから客観的に把握できる点が大きなメリットです。

    分析で得た知見はサイト改善やマーケティング施策に直結させましょう。イベントデータに基づく仮説検証を繰り返すことで、コンバージョン率やユーザー体験の継続的な向上が見込めます。GTM×GA4×Google広告の連携により、データ活用の範囲はサイト内に留まらず広告運用まで拡大します。

    最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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