(画像出所:swipepages のインスタグラム)
こんにちは。みなさんは、上記のように横にスクロールして閲覧するタイプのLP(スワイプ型LP)に遭遇したことがありますか?今回はこのスワイプ型LPについて解説します。
弊社がMicrosoft Clarityのレコーディング機能を使って、広告集客した「縦長LP」ユーザー(複数のLPが対象)約600人の行動分析をしたところ、約7割のユーザーが、ファーストビューから猛スピードで、下にスクロールして離脱していました。LPを改善しても、CVRが上がらない原因の大半は、「ユーザーが猛スピードで駆け抜ける」ことが原因です。
では、どうしたらいいかというお話をさせてください。
「スワイプ型LP」とは、スマートフォン上で画面を指でスワイプしながら閲覧を進める新形式のランディングページを指します。InstagramやTikTokの“ストーリー”機能に代表される縦型・短尺コンテンツ文化から着想を得ており、各ページ(スライド)ごとに1つのメッセージやビジュアルを配置して、ユーザーに順番に情報を読ませていくUIが特徴です。米国では2010年代後半にこの「ストーリー形式」が台頭し、2018年にはGoogleがAMPストーリー(現Google Web Stories)としてニュース記事向けのスワイプ可能なコンテンツ形式を公式に導入しました。これにより米国西海岸のテック企業や大手出版社(CNNやVox Mediaなど)が早期にストーリー形式を採用し、モバイルユーザーにリッチな体験を提供し始めた経緯があります。つまり、米国発のUIトレンドとして「スワイプ型」のコンテンツ体験が浸透していきました。
近年、このスワイプ型UIが広告ランディングページ(LP)にも応用され始めています。その背景には、モバイルからのWeb閲覧比率の増加があります。2023年以降、全Webトラフィックの6割以上がスマートフォン経由となり、広告経由でLPに訪れるユーザーの大半がモバイルユーザーとなりました。従来型の縦長スクロールLPでは、スマホ画面を一気にスクロールして肝心な情報を飛ばしてしまう傾向が課題でした。そこでタッチ操作に最適化されたスワイプ型LPが次世代フォーマットとして注目を集めています。SNSで慣れ親しんだ直感的な操作感を広告LPに持ち込むことで、ユーザーに「次が気になる」体験を提供し、最後まで読み進めてもらいやすくする狙いがあります。実際、縦長LPをスワイプUIに変えるだけでユーザーエンゲージメントとコンバージョン率の大幅向上が確認できるケースが続出しています。これは単なる話題性ではなく、ユーザー行動データに裏付けられた効果と言えます。
米国ではマーケティング業界全体でこの潮流を捉え、専用ツールやサービスが生まれました。例えば「Swipe Pages」は2020年創業のランディングページビルダーで、スマホ特化の“スワイプページ”機能を武器に急成長し、創業から数年で7,000社以上の顧客を獲得しています。同社はドラッグ&ドロップ操作で高速にAMP対応のモバイルLPを作成できる点を売りにしており、その有料プランは月額$29からとリーズナブルな価格設定です。また、大手ランディングページツールのUnbounceやInstapageもモバイル最適化やストーリー的表現のテンプレートを強化しており、短尺動画やスワイプ可能カルーセルをLP上で展開するデザインがトレンドになっています。2025年のWebデザイントレンドとしても「TikTokやYouTubeショートのようなスワイプ可能な短尺動画をLPに埋め込む」手法が注目されており、短いスワイプコンテンツでユーザーの興味を引き付け素早く要点を伝えることが効果的だと認識され始めています。
日本でも遅れる形でこのトレンドが波及し、2024年前後から「スワイプ型LP」専用サービスのリリースが相次ぎました。大阪のスタートアップである株式会社エフカフェは2024年6月に「LPcats」というサービスを開始し、縦長LPが抱えていた(1)情報読み飛ばしと(2)制作・改善コストという二大課題を一挙に解決できると発信しています。LPcatsはInstagramのストーリーのようなSNSスタイルのUIで、「読み飛ばされないLP」をノーコードで簡単に作成可能とし、導入企業ではCVR(コンバージョン率)が200%以上向上した例もあると報告しています。実際、あるコンタクトレンズ通販サイトでLPcats導入後に1週間のA/Bテストを行ったところ、CTAクリック率が5.24%から14.50%へと約2.77倍に、CVRも1.05%から2.60%へと約2.48倍に改善ししたそうです。これにより「読み手に最後まで情報を届けること」がダイレクトに成果に結びつくことが実証されています。
さらに2024年後半以降、複数の国内企業が追随しています。例えば合同会社D2Frontierは2025年3月、自社のノーコードLP制作ツールにスワイプ操作型LP機能を実装し、「複雑な商材でもストーリー仕立てなら伝わりやすく、ユーザーの没入感を高めてCVRを劇的に改善できる」と発表しています news.jorudan.co.jp 。このように、日本市場でも広告運用担当者の間でスワイプ型LPへの関心が急速に高まっています。
米国の先進的な広告主はスワイプ型LPを活用して大幅なコンバージョン向上を達成しています。例えば、あるモバイル広告キャンペーンではWebストーリー形式のLPが31%という驚異的なコンバージョン率を記録し, 従来形式のLPを大きく上回る成果を出しました。一般的に業界平均のLP転換率(CVR)は1%未満と言われる中で、この31%という数値は突出しており, スワイプ型LPの訴求力の高さを示す好例です。背景には、ユーザーが能動的に画面をタップ/スワイプして情報を追っていく没入体験があり、受け身でスクロールする場合に比べ離脱率が低減する傾向が確認されています。特に若年層向け商材を扱う企業(ファッション、コスメ、サブスクリプション型D2Cサービス等)でこの手法は効果的で、SNSストーリーを見る感覚で商品特徴を順次伝えることで最後の購入誘導までユーザーをエンゲージできます。実際、米国西海岸のD2Cブランドの中にはInstagram広告のクリック先LPをスワイプ型に切り替え、広告⇔LP間の体験の一貫性を高めることでCPAを改善したケースが複数報告されています(たとえば化粧品業界で、動画ストーリー仕立てのLPにより広告費対効果が向上した例などが知られています)。このように、モバイルネイティブ世代のユーザー体験に寄り添ったLP設計が、米国では成果につながりやすいと認識され始めています。
スワイプ型LPの成功事例はBtoC分野に留まりません。BtoB領域でもウェビナー募集や製品紹介で採用が進みつつあり、段階的に情報を開示することでリード顧客の理解度と反応率を上げる工夫がなされています。例えば、あるソフトウェア企業は従来1ページに詰め込んでいたサービス紹介LPをスワイプ型に再構成し、「1画面=1訴求」に絞ったところ問い合わせ率が向上したといいます。もっともBtoBではユーザーが求める情報量も多いため、初期段階では盛り込みすぎによる「スワイプ疲れ」も発生しました。この企業は後に各画面の情報を取捨選択してコアメッセージに絞り込む改善を行い、最終ステップ到達率を20%以上に高めることに成功しています。この教訓から、スワイプ型LPは情報を小出しにできる反面、画面数が増えすぎると離脱につながるため、適切な画面枚数と内容の厳選が重要であることが分かります。米国の事例全体を俯瞰すると、「ストーリー仕立てでユーザーを引き込み、簡潔かつ連続的にメッセージを届ける」というUX設計が高い成果を生んでおり、これがSNS世代のユーザーに刺さる新しい広告手法として評価されています。
特に、各画面にキャッチーなビジュアルやショート動画を配置し、次の画面への興味を引くコピーを添えるといった手法が多用されています。また、最後の画面では明確なCTA(例えば「今すぐ申し込む」ボタンやタップ誘導バナー)を配置し、ユーザーがスムーズにコンバージョンアクションを取れる導線を確保しています。これらのUX上の工夫により、「楽しみながら自然と購買・登録していた」という理想的な顧客体験を実現しているのが、米国の成功事例に共通するポイントです。
スワイプ型LPのポテンシャルを最大限活かすため、導入にあたっては以下のポイントを念頭に置くことが重要です。広告運用担当者として戦略立案から実行までを進める際、コンサルタント視点でのチェックリストと成功要因を整理すると次の通りです。
まず広告代理店様と一緒に、スワイプ型LP導入の投資対効果をシミュレーションしましょう。現状のLP転換率をベースに、改善目標(例:CVR〇%向上)を定めます。自社のターゲットユーザーが主にモバイル経由で情報収集しているか、縦型スワイプコンテンツに慣れている層かを分析します。若年層向け商材でSNS流入が多い場合は親和性が高いですが、逆に高齢層やBtoBでPC閲覧中心の場合はモバイル施策全体の見直しも含め慎重に検討します。またブランド戦略との整合性も重要です。ブランドメッセージを小出しにする形式が、自社の伝えたい世界観やトーンに適合するか評価してください。
スワイプ型LPでは「1画面=1メッセージ」に情報を絞り込むのが鉄則です。各スライドごとにユーザーに伝えたいポイントをひとつだけ載せ、ビジュアルとテキストで直感的に理解できるようデザインします。冒頭の数枚でユーザーの関心を掴み、中盤で商品の価値や差別化ポイントを示し、最後に強力なCTAで締めくくるというストーリーボードを描きます。SNSのストーリーズのように、画面を進むごとに期待感が高まる演出(例:進捗バーや「次を見る」誘導)を取り入れると効果的です。文章量は極力絞り、ユーザーに考えさせないシンプルさを追求します。欲張って一画面に情報を載せすぎると「スワイプ疲れ」を招き途中離脱が増えるため注意が必要です。どうしても伝える情報が多い場合は画面数を分割しすぎず、補足情報はモーダル表示やFAQリンクで別途提供するなど工夫します。ユーザー体験の質を高めるため、表示速度の最適化(画像圧縮やAMP対応)にも留意し、スワイプ操作に遅延が生じないようにします。
ノーコードの専用ツールを活用することで、スワイプ型LPの制作・運用ハードルは大きく下がります。LPcatsのような国内サービスや、Swipe Pages・Instapageといった海外サービスから、自社の予算と要件に合うものを選定します。多くのツールはドラッグ&ドロップ操作でテンプレートをカスタマイズでき、短期間でプロトタイプLPを立ち上げ可能です(ただし、LPの日本語対応、サポートは英語のみなのか?などもチェックもお忘れなく)。費用面では月額課金が主流で、海外ツールでは$30前後から、国内ツールでも数万円程度のプランがあります。自社開発も可能ですが、初期構築コストと開発期間を考えるとツール活用の方がROIが高いケースが多いです。導入前に各ツールの料金体系(ページ数やPV数に応じた課金など)を十分調査し、初期投資と運用コストのバランスを試算しておくことが必要です。また、ツール選定時には分析機能の充実度もチェックしてください。後述のPDCAを回す上で、各画面ごとの指標が見られるダッシュボードやA/Bテスト機能が備わっていると理想的です。
スワイプ型LP導入後は、データに基づく継続的な改善が成功の鍵となります。まず従来LPとのA/Bテストを実施し、CVRやCTAクリック率など主要KPIの差分を検証します。改善フェーズでは、ヒートマップやアクセス解析により各スライドでのユーザー行動(閲覧数・離脱率・滞在時間・クリック率)を詳細に分析します。例えば「2枚目で離脱が発生しているならテキストを簡潔にし魅力的なビジュアルに差し替える」「最後まで到達するユーザーは多いがCTAクリック率が低いなら、最終画面に割引オファーや緊急性の高いメッセージを追加する」など、データに基づいた施策を講じます。幸いスワイプ型LPはステップ単位で定量評価ができるため、課題箇所をピンポイントで特定しやすい利点があります。不要な画面を削除したり順序を入れ替えるなど部分的な改修も容易なため、小さなPDCAサイクルを高速で回しながら最適化を図りましょう。定期的に改善結果をチームで共有し、データドリブンな改善を目指してください。
スマートフォンに最適化されたスワイプ型LPですが、PCユーザーへの配慮も欠かせません。ツールによっては同一URLでPCアクセス時に自動で横スライド表示や通常の縦長スクロール表示に切り替える機能があります。そうした機能がない場合でも、画面下部に「次へ」ボタンを設置したりキーボードの矢印キーでページ送りできるようにするなど、PC閲覧でも違和感なく操作できるUIを提供しましょう。加えて、スワイプ操作に慣れないユーザー向けに最初の画面で簡単な操作ガイダンス(例:「︎ スワイプして続きを読む」など)を表示すると親切です。。
以上のポイントを踏まえて導入を進めれば、スワイプ型LPは「読み飛ばされないLP」として成果を上げることができるでしょう。実際、米国・日本の事例が示すように、スワイプ型LPはユーザー体験の質を高めることで広告投資対効果を向上させる有力なソリューションです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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