「Google タグ」のトリガーとしては、「Initialization - All Pages」を推奨します
Photo by anniespratt on Unsplash

「Google タグ」のトリガーとしては、「Initialization - All Pages」を推奨します

今回のテーマは、GTM トリガー 「All Pages」と「Initialization - All Pages」の使い分けです。

GA4をGoogleタグマネージャー(GTM)で設定する際に、「Google タグ」を選択し、その後「トリガー」の設定で「All Pages」または「Initialization - All Pages」を選択することが一般的です。

しかし、GA4の計測モデルを考慮すると、GA4設定タグのトリガーとして「All Pages」を選択するのは適切ではないという意見もあります。GA4は「ユーザー体験(ブラウザ上の行動)」を計測するモデルとなっており、ページビューを前提に設計されていません。そのため、「GA4設定タグを他のイベントトリガーよりも先に発火するよう制御するべきであり、初期化トリガーを使用して発火順序を制御するべきであると考えられます。

したがって、「Google タグ」のトリガーとしては、「Initialization - All Pages」を選択することが推奨します。ただし、具体的な設定はウェブサイトの状況や目的により異なるため、十分にテストを行ってからご自身の判断で導入をご検討ください。また、設定を変更する際は、影響を最小限に抑えるためにも、変更前後のデータを比較検討することをお勧めします。

「Google タグ」のトリガー「All Pages」、カスタムイベント「AAA」を計測するタグを、意図的に「Google タグ」より早いタイミングにして検証してみます。カスタムイベント「AAA」には「All Pages」よりも確実に早い「Initialization - All Pages」を設定します。

この2つのタグが実装されたワークスペースでプレビューモードによる検証を行ってみます。

この場合、「Google タグ」より先にカスタムイベント「AAA」が計測されるため、「Google タグ」でセットしたcontent_groupパラメータがカスタムイベント「AAA」イベント計測時には記録されません。

では、「Google タグ」を「Initialization - All Pages」で実装し、カスタムイベント「AAA」をそれよりも後の発火順序に制御するために、「DOM Ready」にします。

計測対象ページで最初に「Google タグ」が発火するよう「Initialization - All Pages」で厳密に定義しているため、その後に発火しているカスタムイベント「AAA」には、「Google タグ」で定義したcontent_groupパラメータが紐付いて記録できていることが確認できます。

  • これは最も一般的なトリガーの一つで、ユーザーがページを読み込むたびにタグを発火させます。

  • 具体的には、ページのDOM(Document Object Model)(注)が完全に読み込まれ、ウェブブラウザがページの「window.onload」イベントを発生させた後にタグが発火されます。

  • このトリガーは、「Google タグ」タグや広告トラッキングタグを設定する際によく使用されます。

(注)DOM(Document Object Model)とは、ウェブページをプログラムが読み書きしやすい形で表現したものです。HTMLやXMLで書かれた文書の構造、スタイル、内容などを標準化された方法で扱うことができるオブジェクト指向のモデルです。

ウェブページを例にとると、DOMはそのページの全ての要素をツリー状の構造で表します。この「ツリー」とは、文書の階層的な構造を意味し、各要素が「ノード」として存在します。たとえば、HTML文書の<html>タグはDOMツリーの「ルートノード」になります。その下には<head><body>などの子ノードがあり、さらに<body>の下には<h1><p><div>などのさらに子ノードが存在することになります。

こうしたツリー構造を利用することで、JavaScriptなどのスクリプト言語を通じて、ウェブページの見た目や動作を動的に変更することが可能になります。例えば、JavaScriptを使ってDOMのノードを追加、削除、変更することで、ユーザーのアクションに応じた内容の更新や、アニメーション効果の追加などが行えます。

DOMはブラウザがページを読み込むと自動的に作成されます。そして、ページ上のHTMLタグが変更されるたびに、DOMはその変更を反映して更新されます。つまり、DOMはウェブページの生きた構造であり、ページが変化することで動的に変化するものです。

  • このトリガーはGTMコンテナが読み込まれたとき、つまりページのヘッドタグ内にあるGTMコードが初期化された時点で発火します。

  • DOMが完全に読み込まれる前、JavaScriptがまだフルには機能していない段階で発火するため、一部の設定やカスタムJavaScript変数を初期化するのに適しています。

使い分け方:

  • 通常のページビュー測定: 「All Pages」トリガーを使用します。これにより、ページが完全に読み込まれた後でタグが発火し、ユーザーがページを見ていることが確実に測定できます。

  • カスタムイベントや変数の初期化: 「Initialization - All Pages」トリガーを使用します。カスタムJavaScript変数をページ読み込みの非常に早い段階で設定したい場合などに役立ちます。

具体的な使用例としては、ページビューを測定するために「Google タグ」タグを設定する際には、「All Pages」トリガーを使用します。一方で、ページ読み込み時に特定のJavaScript関数を実行する必要がある場合は、「Initialization - All Pages」を使用します。

どちらのトリガーを使用するかは、タグが発火するタイミングと、そのタグにとって最も重要な情報がいつ利用可能になるかによって決まります。

  1. JavaScript変数の初期化:

    • ウェブサイトにカスタムJavaScript変数を使用している場合、これらの変数をページが完全に読み込まれる前に設定する必要があるかもしれません。例えば、ユーザーのセッション情報や設定を追跡するための変数を初期化する場合、「Initialization - All Pages」トリガーを使用して、これらの情報をページヘッド内で早期に設定できます

  2. 早期エラートラッキング:

    • ウェブサイトの読み込み中にエラーをキャッチして監視したい場合、エラートラッキングスクリプトをページの読み込みが完了する前に実行する必要があります。このような場合、「Initialization - All Pages」トリガーを使用して、ページが読み込まれ始めた直後にエラートラッキングコードを発火させることができます。

  3. サードパーティサービスの初期化:

    • ウェブサイトにチャットサポートや顧客サービスツールなどのサードパーティサービスを組み込む場合、これらのサービスをページのDOMが完全に読み込まれる前に初期化したいことがあります。これにより、ユーザーがページを読み込んでいる間に、サービスが利用可能になります。この初期化コードを「Initialization - All Pages」トリガーに設定すると、ユーザーがページの残りの部分が読み込まれるのを待たずに、すぐにチャットを開始できるようになります。

  4. カスタムフォントのロード:

    • ウェブサイトがカスタムフォントを使用している場合、これらのフォントをできるだけ早くロードしてページのちらつきを避けたいことがあります。「Initialization - All Pages」トリガーは、ページの読み込みが完了する前にフォントロードのスクリプトを実行するのに適しています。

  5. デバイス検出スクリプト:

    • ユーザーのデバイスタイプ(モバイル、デスクトップ、タブレット)を検出し、それに基づいて特定のスタイルやスクリプトを適用したい場合があります。「Initialization - All Pages」トリガーは、DOMが完全にロードされる前にこのようなデバイス検出スクリプトを実行するのに役立ちます。

  6. セッションタイマーの開始:

    • ウェブサイト上でユーザーセッションの長さを測定するためにタイマーを設定する場合、ページが読み込まれると同時にタイマーを開始したいことがあります。「Initialization - All Pages」トリガーを使用すると、セッションタイマーを可能な限り早く開始できます。

  7. セキュリティ対策としてのトークンの検証:

    • ウェブサイトがセキュリティトークンやCSRFトークンを検証する必要がある場合、これをページの読み込みが完了する前に行うことが重要です。「Initialization - All Pages」トリガーを使って、ページのセキュリティを強化するための初期検証を実行できます。

これらの例は、「Initialization - All Pages」トリガーが、ページのロードプロセスの初期段階で実行する必要があるスクリプトや機能に対してどのように利用されるかを示しています。GTMでは、トリガーの発火タイミングを正しく理解し、利用することで、タグのパフォーマンスを最適化し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

アンド,エー株式会社
facebookTwitterDiscord

and,a株式会社(and,a Inc. アンド,エー株式会社)

〒153-0063 東京都目黒区目黒1-4-16 目黒Gビル7階

Copyright © 2017-2024 and,a Inc. All Rights Reserved.