GA4データをGoogleスプレッドシートにレポート出力する方法（Google Apps Script (GAS) 活用）

この記事を読むメリット

GA4データのレポート作成が自動化できる：手動作業から解放され、定期レポート作成の時間を大幅に短縮できます。
GAS活用の第一歩：GASを使ったことがなくても、具体的な手順を通してスクリプト活用のコツがつかめます。
レポートの自由度アップ：自分好みにカスタマイズしたGA4レポートをGoogleスプレッドシートに出力でき、社内共有や分析がよりスムーズになります。

この記事のポイント

GA4 Data APIの利用設定：GASでGA4のデータを扱うために必要なAPI拡張サービスの有効化手順を解説します。
初回実行時の認証フロー：スクリプトを実行する際に求められるOAuth2認証の流れを押さえ、安全に権限を承認する方法を紹介します。
実践コードの解説：GA4からデータを取得し、スプレッドシートに書き出すGASコードのポイントをわかりやすく説明します。

この記事の目次

準備1：GA4 API拡張サービスの有効化方法
準備2：OAuth2認証と初回の承認フロー
実践編：GASコードの解説と実行手順
まとめと活用アイディア

はじめに

「GA4のデータをもっと手軽にスプレッドシートで見られたらなぁ」と思ったことはありませんか？例えば、毎週のサイト指標を自動で集計してレポート化できたら便利ですよね。そこで登場するのがGASです。GASはGoogleのサービスを自動化できるJavaScriptベースのスクリプトで、GA4のデータ取得もばっちり対応しています。GA4を活用しておられる皆さんなら、どんな指標やディメンションを引っ張ってきたいかイメージが湧くはず。それをスクリプトで自動収集してシートにまとめる方法を、これから一緒に見ていきましょう！

準備1：GA4 API拡張サービスの有効化方法

まずはGASからGA4のデータを扱うための下準備です。GA4のデータ取得にはGoogle Analytics Data API（GA4）を使いますが、これはGASで「拡張機能」として提供されています。拡張サービスを有効化すると、面倒なAPI認証周りをGASが処理してくれるのでとてもラクです。

手順：

スクリプトエディタを開く：GA4データを書き出したいスプレッドシートを開き、メニューの「拡張機能」から「Apps Script」をクリックします。これで該当シートに紐づくスクリプトエディタが立ち上がります。
拡張サービスを追加する：スクリプトエディタ画面で左側のメニューに「サービス」という項目があります。そこにある「＋」ボタンをクリックし、サービス追加ダイアログから「Google Analytics Data API」を選択して追加します。↓
（この記事を書いている時点では、v1betaが最新です。）
- ※この操作により、GASからGA4のAnalytics Data APIが使えるようになります。コード上ではAnalyticsDataというオブジェクトを通じてAPIを呼び出せるようになります。
（初回のみ）Google Cloudプロジェクト設定：通常、上記の「サービス」追加を行うと自動的に必要なAPIが有効化されます。もしエラーが出る場合は、スクリプトエディタの左下「プロジェクトの設定」から「Cloud プロジェクトを変更」し、標準のプロジェクトにてAnalytics APIを有効にしてください（通常は不要な手順です）。

これで、準備1は完了です！GAS上でGA4データを扱う土台が整いました。次はいよいよスクリプトを実行…と行きたいところですが、初回実行時には承認（OAuth2認証）が必要になるので、その流れを確認しておきましょう。

準備2：OAuth2認証と初回の承認フロー

GASでGoogleのデータにアクセスする際は、OAuth2認証によるユーザーの許可が必要です。今回のスクリプトでも、初めて実行するときにGoogleから承認を求められるポップアップが表示されます。

具体的な流れは次のとおりです。

実行の開始：スクリプトエディタで関数を実行しようとすると、「承認が必要です」というダイアログが表示されます。ここで「権限を確認」をクリックします。（上記のポップアップ参照）
Googleアカウントの選択：データにアクセスするGoogleアカウントを選びます。今回使用するGA4を閲覧しているアカウントを選択してください。
アプリの確認メッセージ：自作のスクリプトの場合、「このアプリは Google で確認されていません」という警告が出ることがあります。これは自分や社内用で使うGASではよくあることで、心配いりません。画面左下の「詳細」をクリックし、「プロジェクト名（安全ではないページ）に移動」というリンクをクリックします。↓

権限の承認：アクセス権限の一覧が表示されます。「すべてを選択」をチェックし、「続行」をクリックします。
認証完了：これでOAuth2の承認は完了です！以降、このスクリプトは指定したGoogleアカウントでGA4データにアクセスできるようになります。次回以降の実行時は、基本的に再認証は不要です（スクリプトの権限範囲を変更しない限り）。

補足: OAuth2認証とは、ユーザーが第三者のアプリ（今回の場合は自作のGAS）に自分のデータへのアクセスを一時的に許可する仕組みです。承認画面で求められる権限は最小限に留め、安全に配慮されています。自分で内容を理解して作成したスクリプトであれば、安心して許可してOKです。

実践編：GASコードの解説と実行手順

準備が整ったら、いよいよGASのコードを作成してGA4のデータをスプレッドシートに書き出してみましょう！ここではシンプルな例として、ある期間のアクティブユーザー数を日別にシートへ出力するスクリプトを書いてみます。コードは以下のとおりです。

function exportMonthlyGa4DataGenAll() {
  // GA4 プロパティID
  const propertyId = '（対象GA4プロパティのIDを指定します）';

  // 対象シート
  const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName('月次_gen_全体');
  const dateSheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName('Date');

  // 期間取得
  const startDate = dateSheet.getRange('B1').getDisplayValue();
  const endDate   = dateSheet.getRange('C1').getDisplayValue();

  // APIリクエスト設定（オブジェクトリテラルを使う方法）
  const request = {
    dimensions: [
      { name: 'yearMonth' }
    ],
    metrics: [
      { name: 'sessions' },
      { name: 'bounceRate' },
      { name: 'totalUsers' },
      { name: 'purchaseRevenue' }
    ],
    dateRanges: [
      { startDate: startDate, endDate: endDate }
    ]
  };

  // GA4 レポートを取得（Advanced Service「AnalyticsData」を利用）
  // ※ Advanced Service の有効化とスクリプトプロパティの設定が必要です
  const response = AnalyticsData.Properties.runReport(request, `properties/${propertyId}`);

  // データがない場合は終了
  if (!response.rows) return;

  // ヘッダー出力
  const headers = ["月", "セッション", "直帰率", "総ユーザー数", "購入による総収益"];
  sheet.getRange(2, 1, 1, headers.length).setValues([headers]);

  // レスポンスデータを整形してセット
  const rows = response.rows.map(row => {
    // yearMonth → YYYY-MM に整形
    let ym = row.dimensionValues[0].value;
    ym = ym.slice(0,4) + "-" + ym.slice(4);

    // 数値変換
    const sessions = Number(row.metricValues[0].value);
    let bounceRate = Number(row.metricValues[1].value);
    const totalUsers = Number(row.metricValues[2].value);
    const revenue = Number(row.metricValues[3].value);

    // 直帰率と収益を文字列として整形
    if (bounceRate < 1) bounceRate *= 100;  // 0.xx → xx%
    const bounceRateStr = bounceRate.toFixed(1) + "%";
    const revenueStr = "$" + revenue.toFixed(2);

    return [ym, sessions, bounceRateStr, totalUsers, revenueStr];
  });

  // 行があれば書き込み
  if (rows.length > 0) {
    sheet.getRange(3, 1, rows.length, headers.length).setValues(rows);
  }
}

コードのポイント解説：

propertyIdには対象GA4プロパティのIDを指定します。これはGA4管理画面の「プロパティ設定」に表示されている数字IDです（G-XXXXXXXXの測定IDとは異なるので注意してください！）。
AnalyticsData.newDateRange()などの部分で日付や指標のオブジェクトを作成し、期間（日付範囲）・ディメンション（ここでは日付）・指標（ここではアクティブユーザー数）をリクエストにセットしています。endDate: 'today'とすることで、このスクリプトを実行した当日までのデータを取得可能です。
AnalyticsData.Properties.runReport(request)で実際にGA4のレポートデータを取得しています。拡張サービスを有効化したことで、このように直接GA4 APIを呼び出す関数が使えます。
レスポンスデータからdimensionHeadersとmetricHeadersを取り出し、シートのヘッダー行として追加しています。続いてrowsの中身をループし、dimensionValues（日付）とmetricValues（アクティブユーザー数）を取り出してシートに一行ずつ書き込んでいます。
SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getActiveSheet()は現在開いているスプレッドシートのアクティブなシートを指しています。必要に応じてgetSheetByName('シート名')で特定シートを指定したり、SpreadsheetApp.openById(spreadsheetId)で別のスプレッドシートに書き込むことも可能です。

実行手順：

コードを貼り付け：スクリプトエディタ上に上記のコードをコピー＆ペーストします。自動補完が効くので入力しながら書いてもOKです。冒頭のpropertyIdは自分のGA4プロパティIDに置き換えてください。
コードを実行する前に、次の２つのシートを用意してください。一つ目のシートはシート名「Date」＝集計期間を指定します。下記のように、セルB1に開始日をyyyy-mm-dd形式で、C1に終了日を入力してください。２つ目のシートは「月次_gen_全体」で、スクリクリプト実行前は何も記述されていないからのシートです。
スクリプトを保存：コード入力後、上部の保存ボタン（アイコン）をクリックして変更を保存します。
関数を実行：関数リストからexportGa4Reportを選択し、実行ボタンをクリックします。初回実行時は前述のOAuth承認フローが走るので、案内に沿って承認してください。
シートを確認：スクリプトの実行が完了したら、元のスプレッドシートに戻りましょう。指定したシートに日付とアクティブユーザー数のデータが書き出されているはずです。例えば「2023-01-01 の activeUsers が 100」ならシートにその通りの値が入っています。

トラブルシューティング: もしデータが出力されない場合は、スクリプトエディタのエラーログを確認しましょう。プロパティIDの入力ミスや、GA4側で該当データがない期間指定になっていないかなどをチェックしてください。

まとめと活用アイディア

今回は、GA4を活用中の皆さん向けにGASを使ってGA4レポートをスプレッドシートに自動出力する方法を紹介しました。準備段階の設定さえ済ませれば、あとはコードを実行するだけで常に最新のGA4データをシートに反映できます。

今回のポイントを振り返ると：

GASの拡張サービスとしてGA4のAnalytics Data APIを有効化し、簡単にGA4のデータ取得が可能になりました。
初回実行時のOAuth2認証を行うことで、スクリプトに必要な権限を付与し、安全にデータへアクセスできました。
サンプルコードでは日別アクティブユーザー数を取得しましたが、指標やディメンションを変えれば自由自在に欲しいレポートを作成可能です。

最後に、せっかく自動化したレポートはぜひ定期実行してみましょう。GASのトリガー機能を使えば、今回のスクリプトを毎日や毎週自動で実行させることもできます。例えば毎朝自動で前日の指標を追記したり、月初に前月分のレポートを更新したりといった運用も夢ではありません。時間主導型のトリガーを設定しておけば、あなたの代わりにGASがせっせとレポートを更新してくれます。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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