本記事では、GA4で「1セッションに5回以上のページビュー」を条件にイベントを計測する具体的な実装方法を、コード不要なオーディエンストリガー活用法と、Google タグマネージャー(GTM)を用いる高度な手法の2つに分けて詳細解説します。
GA4の標準機能で「5回以上のページビュー」を条件にイベント発火できる方法
GTMを使ってリアルタイムかつ柔軟なイベント計測を行う方法
各方法のメリット・デメリット
実装時の注意点・活用方法
前提となる知識
方法1:GA4オーディエンス+オーディエンストリガーで実現(コード不要)
方法2:GTMでページビュー回数をカウントし、5回目到達時にイベント発火
2つの方法の比較表
よくある質問(FAQ)
まとめ
セッションとpage_viewイベント(GA4)
GA4ではpage_view
イベントがデフォルトで計測されており、session_start
イベントを契機に1セッションが定義されます。セッション内でのページビュー数は、ユーザー行動の深さを測る重要な指標。これをトリガーとして別イベントを発行すれば、リマーケティングや分析の精度を高められます。
実現の考え方
GA4の標準UIで実施する方法:オーディエンスとオーディエンストリガーを使い、コーディング不要で条件達成時にイベントを生成します。
GTMで実施する方法:JavaScriptやsessionStorageを用いてページビュー回数をカウントし、5回目到達時にGA4イベントタグを発火します。即時性に優れ、柔軟性が高いです。
GA4には「オーディエンス」という機能があり、特定条件を満たしたユーザー群を抽出できます。また、「オーディエンストリガー」を使えば、そのオーディエンスにユーザーが入った瞬間に独自イベントを発生させることが可能です。
これを利用すれば、「同一セッション内で5回以上のpage_view
があった」という条件でオーディエンスを組み、その達成時にイベントを作り出せます。
オーディエンスの作成
GA4プロパティの管理画面にアクセス
左メニュー「構成」>「オーディエンス」から「新規オーディエンス」作成
条件設定でpage_view
イベントに対して「同一セッション内でイベント発生回数 >= 5」と指定
↑オーディエンスの設定例:
4. オーディエンスを保存
オーディエンストリガーの設定
「構成」>「オーディエンストリガー」を開く
先ほど作成したオーディエンスを選択
「ユーザーがオーディエンスに入ったときにイベント発行」を有効化
イベント名(例:high_engagement_session
)を指定
保存
メリット:
コード不要で、マーケターやアナリスト単独で対応可能
GA4標準機能のみで完結
デメリット:
オーディエンス更新にはラグが生じる可能性あり
即時性に欠けるため、リアルタイム施策にはやや不向き
Google タグマネージャー(GTM)を用いると、ブラウザ側でカウンタを走らせ、ページビューごとに数値をインクリメントできます。5回目到達時点でカスタムイベントをGTMから発火し、GA4に即時反映できるため、リアルタイム性・柔軟性が高まります。
ページビューカウント用変数作成(GTM)
GTMで「変数」>「新規」>「ユーザー定義JavaScript変数」を作成
下記コード例を変数内に記述:
function() {
var count = sessionStorage.getItem('pv_count') ? parseInt(sessionStorage.getItem('pv_count'), 10) : 0;
count++;
sessionStorage.setItem('pv_count', count);
return count;
}
トリガー設定
ページビュー発生時ごとに上記変数を参照(もしくはDOM Ready後に変数を評価)してカウントアップ
5回目達成時に{{pv_count}} equals 5
という条件でカスタムトリガーを作成
GA4イベントタグ発火
GA4イベントタグを作成し、トリガーに「pv_count == 5」の条件を割り当て
イベント名:fifth_pageview_reached
などわかりやすい名前を付ける
テスト・デバッグ
GTMのプレビューモードでページをリロードしながら正しく5回目でイベントが走るか確認
GA4のDebugViewでもイベントが即時送信されるかをチェック
メリット:
リアルタイムでイベント発火可能
ロジックを柔軟にカスタマイズ可能(「5回」以外にも自由に条件拡張)
デメリット:
GTM実装知識やテストが必要
開発担当者との連携が必要な場合も
Q1.「5回」ではなく、10回や特定のページ名で条件を付けられますか?
GA4オーディエンス利用の場合:オーディエンス作成時にイベント回数や条件を調整可能です。ただし自由度はオーディエンス機能で定義可能な範囲内に限られます。
GTM利用の場合:変数やカウントのロジックを変更すれば任意の回数・条件に対応可能です。
Q2. リアルタイムで広告配信などの施策に利用できますか?
オーディエンス方式はラグがあるため、即時反映は難しいです。一方、GTM方式ならイベント発火が即時なため、リアルタイムでの施策連動(例えばヒートマップツールとの組み合わせや、Firebase等へのイベント連携)も可能です。
Q3. プライバシーへの影響はありますか?
ページビュー回数は個人情報に該当しませんが、実装時にはクッキーやsessionStorage利用ポリシー、プライバシーポリシーへの言及など、コンプライアンス面に注意しましょう。
簡易な方法が良い場合:GA4の「オーディエンス+オーディエンストリガー」がおすすめ。コード不要で管理画面からサクッと実現できます。
即時性や柔軟性が必要な場合:GTMでカウントアップし、5回目発生時に即時イベント発火させる方法が有効です。
どちらの方法を選ぶかは、運用体制・スキルセット・即時性の要求度合いによって異なります。
「1セッション内で5回以上ページビューが発生した際のイベントトラッキング」は、エンゲージの高いセッションを的確に捉える有用な施策です。自社サイトやアプリの状況に合わせて、ぜひ活用してみてください。