改正「障害者差別解消法」(2024年4月1日 施行)、大手企業のウェブ アクセシビリティ対応状況は?
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改正「障害者差別解消法」(2024年4月1日 施行)、大手企業のウェブ アクセシビリティ対応状況は?

障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら共に生きる社会(共生社会)を実現するため、「障害者差別解消法」が定められています。

「障害者差別解消法」では、行政機関等及び事業者に対し、障害のある人への障害を理由とする「不当な差別的取扱い」を禁止するとともに、障害のある人から申出があった場合に「合理的配慮の提供」を求めることなどを通じて、「共生社会」を実現することを目指しています。

「合理的配慮の提供」とは、障害のある人から「社会の中にあるバリア(障壁)を取り除くために何らかの対応が必要」との意思が伝えられたときに、行政機関等や事業者が、負担が重すぎない範囲で必要かつ合理的な対応を行うことです。

「合理的配慮の提供」は、これまで行政機関等は義務、事業者は努力義務とされていましたが、改正法により、令和6年4月1日から事業者も義務化されることとなります。

出所:障害者差別解消法に基づく基本方針の改定 - 内閣府

https://www.cao.go.jp/press/new_wave/20230331_00008.html

A. この法律では、民間事業者などによる違反があった場合に、直ちに罰則を課すこととはしていません。
 ただし、同一の民間事業者によって繰り返し障害のある方の権利利益の侵害に当たるような差別が行われ、自主的な改善が期待できない場合などには、その民間事業者が行う事業を担当している大臣が、民間事業者に対して報告を求めることができることにしており、この求めに対して、虚偽の報告をしたり、報告を怠ったりしたような場合には、罰則(20万円以下の過料)の対象になります

出所:内閣府 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律についてのよくあるご質問と回答<国民向け>

アクセシビリティとは、一般的に物事へのアクセスがしやすいことを指します。この用語は、製品やサービスがどれだけ利用しやすいかを表す際にも使われます。

これに似た概念としてユーザビリティがありますが、アクセシビリティはもっと広範な利用状況や多様なユーザーを想定しています。

特にウェブ アクセシビリティは、ウェブサイトの使いやすさに焦点を当てた用語です。これはウェブページの情報や機能がどれだけアクセスしやすいかを意味し、多様なユーザーやデバイス、環境でウェブを使う現代において、非常に重要な品質とされています。

JIS X 8341-3は、ウェブ上のコンテンツが高齢者や障害者にも使いやすいように設計するための日本の規格です。この規格は、ウェブアクセシビリティを保証するためのガイドラインの一つで、国際標準化団体であるW3Cの基準に基づいています。

この規格の詳細な情報を得るには、日本規格協会のWeb販売サイト「JSA Webdesk」で規格票を購入することができます。無料で閲覧するには、日本産業標準調査会のサイトにアクセスし、「JIS検索」から「X8341-3」と入力して検索すれば見ることができます。また、規格票から附属書を除いた本体部分を記載した『JISハンドブック(高齢者・障害者等)』は、都道府県立図書館や大学図書館等で閲覧することができます。詳細はJISの入手閲覧方法を参照ください。

図表出所:デジタル庁 「ウェブアクセシビリティ 導入ガイドブック」

2004年6月に制定されたJIS X 8341-3は、2010年8月、ウェブアクセシビリティの事実上の国際標準であるW3Cの発行したWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0と協調するよう改正されました。その後、2012年には WCAG 2.0 がそのまま国際規格ISO/IEC 40500:2012となり、2016年3月には、JIS X 8341-3ISO/IEC 40500:2012との一致規格として改正されました。

これにより、WCAG 2.0ISO/IEC 40500:2012JIS X 8341-3:2016の3つが全て技術的に同じ内容になり、W3Cの勧告、国際規格のISO、国内規格のJISが完全に統一されることになりました。

「JIS X 8341-3:2016」には3段階の「適合レベル」が設定されています。

  • レベルA(最低レベル)レベルAで適合するには、ウェブページがレベルA達成基準の全てを満たすか、又は適合している代替版を提供している。 

  • レベルAAレベルAAで適合するには、ウェブページはレベルAおよびレベルAA達成基準の全てを満たすか、又はレベルAAに適合している代替版を提供している。 

  • レベルAAA(最高レベル) レベルAAAで適合するには、ウェブページがレベルA、レベルAA、およびレベルAAA達成基準の全てを満たすか、又はレベルAAAに適合している代替版を提供している。 

    一番高いレベルが「レベルAAA」ですが、 「JIS X 8341-3:2016」の「5.1.1」には次のように示されています。

    コンテンツの中には、レベルAAA達成基準の全てを満たすことのできないものもあるため、サイト全体の一般的な方針としてレベルAAAでの適合を要件とすることは推奨されない。

(2023年12月19日現在)

ソニー https://www.sony.com/ja/webaccessibility/

目標とする適合レベルおよび対応度 JIS X 8341-3:2016 の適合レベルAAに準拠

ANA https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/website/webaccessibility/

目標とする適合レベル W3C勧告「WCAG 2.1」及び日本産業規格「JIS X 8341-3:2016」適合レベルAA

NTTグループ  https://group.ntt/jp/accessibility/

目標とするレベルおよび対応度 JIS X 8341-3:2016のレベルAAに準拠

JR東日本  https://www.jreast.co.jp/web_accessibility/

達成等級・規格・指針  「JIS X 8341-3:2016」達成等級AAに準拠

ヤマハ  https://www.yamaha.com/ja/accessibility/

目標とする適合レベルおよび対応度 JIS X8341-3:2016 の適合レベルAAに一部準拠


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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