こんにちは。and,aの中田です。ウェブ解析の仕事を30年近く続けてきました。
私はこの春、自分の分析のやり方をそのまま写しとったような仕組み、「解析ロボ」を作りました。 ウェブサイトの流入計測、競合サイトをネットの海から探してくれる、改善提案のレポートを自動で作ってくれる。 ちょっとめんどくさいが多いWeb解析のルーチンワークを大幅に減らしてくれるんです。
驚かれることが多いのですが、私はエンジニアではありません。 それでもウェブサービスという形にできました。 この記事では、非エンジニアの私が、AIと一緒に「解析ロボ」をつくってリリースした経緯を書きます。
解析ロボ = コンサルタントのコピー
「解析ロボ」は、GA4のデータを読み込み、ウェブサイトのどこに問題がありそうかをレポートにまとめるツールです。
私は長年、クライアントの数字を見て、改善案を提案する仕事をしてきました。 ヒートマップを使った分析は、2014年から続けています。 自分で言うのもなんですが、現場ひとすじのベテランです。
長くやっていると、Webサイトの分析の勘所はだいたいわかってきます。 離脱が増えているページ、滞在時間が短いページ、検索から来た人がすぐ帰ってしまうページ。 こういう場所を、自分の中の手順で確認していきます。
自分のやっている作業を分解すると、だいたい7つの工程に分かれます。
- 計測タグの設計と実装を点検する
- GA4の生データを取得し、指標を集計する
- ヒートマップと回遊経路から、行動を読み解く
- 検索キーワードと競合サイトを調べる
- 課題を洗い出し、優先順位をつける
- 改善案を画面設計に落とし込む
- 提案書にまとめ、効果を検証する
この手順を、そのままツールにできないかと考えました。 私の頭の中にあるルーチンワークの作業を、プログラムに移し替えるという発想です。 ただ、私自身はあまりコードを書けません。
この開発を進められたのはClaude Codeのおかげと言っても過言ではありません。
思いついたことを、その日のうちに試す
Claude Codeは、自然な日本語で指示を出すと、その通りにコードを書いて動かしてくれるツールです。 専門的な開発環境を用意する必要はありません。
普通の開発だと、企画を立てて、仕様書を書いて、開発を依頼して、数週間後に形になる、という順番になりがちです。 私がやったのはこの逆でした。 「GA4のデータを取ってきて、離脱率が高いページを一覧にしてほしい」と伝えると、その日のうちに動くものができます。 それを実際に動かしてみて、「この項目も欲しい」「この並び順は見づらい」と気づいたことを、その場で直していく。
この進め方が、私には合っていました。 長年、コンサルタントとして、良いレポートと悪いレポートの違いは直感的にわかります。 ただ、それを最初から言葉ですべて説明するのは難しい。 AIで組み上げたプログラムを動かして、出力されたレポートを見てから、「ここが違う」と気づいて修正することのほうが多かったです。
企画書を完璧に仕上げてから作り始めるのではなく、まず粗くても動くものを作り、触りながら直していく。 この進め方は、アジャイル開発といって、アイデアをとりあえず形にして、あとからちょっとずつ改善していくスタイルです。 個人開発のプログラマーさんのような、企画と開発が同じ人である場合に行いやすいんですね。
これまではアイデアがあっても、プログラムを作れる人に依頼しないといけなかった。 ですが、Claude Codeの登場でアイデアを素早く形にすることが私にもできるようになりました。
思いついたら、その日に試す。 うまくいかないところを直す。
その繰り返しで「解析ロボ」はできあがりました。
最上位モデルFable 5は最終的なチェックのみ。 最後の最後の工程でFable 5を使って、トークンを節約しています。
GA4のデータはGoogle Apps Script(Googleのサービスを自動で動かす仕組みのこと)でGoogleスプレッドシートに取り込み、Pythonで処理しています。
自分でやることと、AIに任せることの線引き
95%以上の作業は、Claude Codeに任せています。 データを取ってくる部分、数字を整える部分、グラフを組み立てる部分。 ここはすべて任せられます。
残った5%は何かというと、レポートのどの数字を目立たせるか、どの順番で見せるかという部分です。 同じデータでも、経営者向けと現場担当者向けでは、見せ方を変えたほうが伝わります。 ここは経験がものを言う場所なので、AI任せは頼りない。 やはりAIが提案したものをきちんと見て、AIに指示しています。
開発にあたって、自分が作業することで最も意味のある部分はどの工程か、一度立ち止まって考える必要がありました。 Claude Codeに任せてみて分かったのは、AIに任せられる部分と、そうでない部分がはっきり分かれるということ。 すべてを自動化しようとすると、かえって使いにくいものになります。
AIができないことは「経験」と「判断」です。
AIに”惜しい”と思った瞬間
Claude Codeが出してくるレポートの初稿は、たいてい及第点です。数字も合っていますし、グラフの形も崩れていません。
ただ、何度か「惜しいな」と感じた場面がありました。
長年使ってきた集計の仕組みを、新しい方式に置き換えたときのことです。 合計値はぴたりと一致し、安心しかけたのですが、念のため全部のセルを1つずつ突き合わせたところ、5,714個のうち4個だけ数字が違いました。 原因は、小数の丸め方の違い。差はわずか0.1で、合計だけ見ていたら絶対に気づけませんでした。
AIは「正しいもの」は作れます。
しかし「人に伝える価値ある情報」を作るには、AIの中で完結するのは無理がある。
人間の経験やノウハウが必要ということです。
コーディングスキルは不要
「解析ロボ」の本体はGitHubで無料公開しています。興味があれば、ご自身で試していただけます。
この記事を書きながら振り返ると、必要だったのはプログラミングの知識ではなく、自分の仕事のやり方を言葉にする力でした。何を確認し、何を基準に判断しているか。それをひとつずつ書き出していく作業です。
コードは書けなくても大丈夫です。自分の仕事の手順を説明できれば、始められます。
自社のレポート作成にも「解析ロボ」の仕組みを取り入れたい方へ
GitHubのコードを自分で動かす以外に、and,aが伴走して貴社の業務に合わせて構築するサービスもあります。
解析ロボのサービス詳細を見る →「解析ロボ」についてよくある質問
Q. 解析ロボはどこで手に入りますか?
GitHubで無料公開しています。本体のコードはそのまま使えます。
Q. プログラミングの知識がなくても使えますか?
Claude Codeに日本語で指示を出す形なので、コードを書く必要はありません。ただし、自分の分析手順を言葉にして渡す作業は必要です。
ウェブ解析業務の見直しや、Claude Codeを使ったツール開発についてのご相談は、and,aまでお寄せください。 相談は無料です。
生成AIの活用やWeb解析についてお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。初回無料です。